ご自身のこと

人に合わせるという「生き方」|我慢してきたのは安心が欲しかったから

夫と子ども3人家族のMさん。
にこやかで明るい印象の彼女は、職場でみんなから頼りにされています。
仕事も子育ても家事もこなし、まわりからはうまくいっているように見えます。

仕事もよくできて、気づかいもできるMさんですが、困っていることがあります。
それは、他の人が悩んでいたり、怒られていたりする状況に、気持ちが引っ張られること。
そういう場面にいると、関係のない自分も辛くなってしまう。
他にも、自分が相手に言った何気ない言葉を振り返り、相手を傷つけてしまったのではないかと気にしてしまうこと。
相手から言われた言葉も、本当はこういう意図だったのではないかとグルグル考えてしまいます。

人といると、いろいろ考えすぎて、家に帰るとどっと疲れが出る。
夜10時には、子どもと一緒に寝てしまいます。
朝もだるさが残りますが、職場では気を遣わせたくないので、疲れたそぶりは見せません。

「気持ちを察して相手に合わせる」
それがMさんの「生き方」です。
「生き方」は小さいころに身に着きます。


Mさんの母親には、身体障害がありました。
そのためMさんは、物理的にも精神的にも、小さいころから母親を支えてきました。
自分の気持ちを抑えて「良い子」をやってきた。
そうするとお母さんに喜んでもらえたから。
お母さんが自分を頼りにしていることがよくわかっていたから、それに応えようと頑張ったのです。

「生き方」は人間関係全般にあらわれます。
母親にだけではなく、学校の友達や先生、職場の同僚にも同じように相手に合わせて、相手の気持ちに沿ってコミュニケーションをとってきました。
「良い子」の自分は相手から好かれ、頼りにされます。
でも、その分自分を犠牲にしているので、とても疲れるのです。

長い間、ずっと気持ちを我慢をしてきました。
我慢をすることが、自分を支える「生き方」だったんです。
自分の気持ちを抑えて、お母さんの期待に応えることが「安心」につながっていたんです。
長い間続けてきた我慢は、安心とつながっているので、やめるのが怖い。
でも、今はもうギリギリです。身体も心も疲れています。
「休んで迷惑をかけるなら、仕事を辞めたほうがいいだろうか」
そんな考えも頭をよぎります。

我慢を解いていくために最初にするのは、今お伝えしたことをまずは頭で理解することです。
ずっと我慢していたと気づくこと。
自分の気持ちを抑えて生きてきたこと。
幼いころの自分は、我慢によって安心を得てきたこと。

自分の我慢がわかってくると、無意識にしていた「良い子」が見えてきます。
だんだん「これ、嫌だなぁ」という気持ちも見えてきます。
「人に合わせる」ことは、続けたままでいいです。一気にやめることは難しいですから。
行動は今までと同じでも、自分の気持ちには気づいてあげましょう。

「これ、嫌だなぁ」が積み重なってくると、今度は「合わせるのをやめてみる」という選択肢が出てきます。
一番影響の少ないところから、やめてみる。
自分が楽な方を選ぶ、というのもよいです。
人と一緒にいる時間を減らす、子どもを預けて自分の時間を作るなどです。

「人に合わせる」ことの本質は「優しさ」です。
自分の気持ちを大切にすることと、人の気持ちに寄り添う優しさの両方をバランスよく持てると、人とのコミュニケーションが心地よくなります。

以上、簡単にお伝えしましたが、これまで長く続けてきた我慢を解くのは、時間がかかります。
焦らず、ゆっくりでいいんです。
自分を支えてきた生き方ですから。
納得して、腑に落ちると自然と楽になっていきますよ。

人に合わせてきたあなたは、人を頼ることが苦手です。
人に合わせる生き方も「頑張って」変えようとするかもしれません。
誰かに「助けてほしい」ということが、新しい生き方への一歩になります。
ぜひ、話をしにいらしてください。

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