子育て

【子どもを叩いてしまう】原因と対処法|親の心理と子どもへの影響

子育てママ

・いうことをきかない子どもにイライラして怒鳴ってしまう      
・感情が抑えられず、叩いてしまって後悔する
・ちゃんと子育てしなきゃというプレッシャーがある
・子どもをかわいいと思えず、子育てが苦しい

子育ては予測不可能なことの連続です。子育て中の母親には、それを受け入れるだけのキャパシティが求められます。
しかし、元々自分に対して厳しい生き方をしてきた女性は、子どもの予想外の行動を受け入れる余裕がありません。子育てで大きな負荷がかかり、それが爆発して怒鳴ったり叩いたりしてしまうと、子どもは緊張して親に合わせるようになり、社会(学校)に出てもうまく自己主張できなくなってしまいます。
私は、10年以上子ども家庭支援センターに勤めてきましたが、子どもを叩いてしまう、怒鳴ってしまうというような、まわりに相談できない深い悩みを多数お聞きしました。
そこでこの記事では、子どもを叩いてしまう親の心理とその対処法についてお伝えします。
子育てが苦しい母親には「自分に厳しい生き方」をしているという共通点があります。今回は「子どもを叩いてしまう」ことに焦点を当てながら、母親の「生き方」を解説していきます。子育てに悩む方はぜひ最後までお読みください。

子どもを叩く母親の特徴 全く異なる2つのパターン

子どもを叩く母親の特徴は、大きく分けて二つあります。
一つ目は、「子どもの気持ちを理解できず、叩くことを正当化する」母親です。
母親は、自分の主張が正しいと思っており、それに従わない子どもを叩きます。
子どもは親に叩かれて委縮しますが、母親は子どもが怖がっていることを感じ取れません。
また、このタイプの母親は、自分のの機嫌によって子どもへの態度を変え、機嫌がいいと子どもをかわいがり、機嫌が悪いと叩くので、子どもはどうしていいのかわからず混乱します。

二つ目は、「イライラした気持ちを抑えられないが、本当は何とかしたいと思っている」母親です。検索してこの記事にたどり着いた方は、こちらの母親でしょう。
子どもを叩くことがいけないことだとわかっている、でもとっさに手が出てしまった。叩いた後に自分を責め、さらに苦しくなります。
叩かないために子どもを無視することもあるでしょう。
子どもは母親に叩かれたショックはありますが、母親の反省が子どもにも伝わるので、「僕(私)も悪かったけど、叩いたお母さんもよくなかった」という意識があります。
母親が「さっきはごめんね」と言葉にしなくても、母と子の気持ちはつながっているのです。

子どもにイライラして手が出てしまうのは、母親自身が「厳しい我慢の生き方」をしているから

叩くことはよくないとわかっているのに、どうして子どもに手が出てしまうのか。
それは、母親自身が小さいころから、親、先生、友達に過度に合わせて生きてきたからです。
ずっと自分を我慢して、人に合わせて生きてきたから、我慢ができないわがままなこの子を許せない。自由に、のびのびしている子どもを見るとイライラします。

厳しい生き方をしている母親は、「ちゃんと子育てしないといけない」という義務感でいっぱいです。子どもの食事、風呂、学校や保育園の準備、寝かせる時間など、やるべきことに追い詰められています。
タスクでいっぱいの義務感の子育てには、喜びがありません。
一般的な子育てには、日々のやるべきことと喜びの両方があります。そのため、子育てで多少辛いことがあっても、乗り越えていけるのです。
一方、義務感の子育ては、やるべきタスクが並んでいるだけで、報われることはありません。

「厳しい我慢の生き方」の原因は幼少期にある

「ちゃんとしなくてはいけない」「人に合わせないといけない」という厳しい我慢の生き方の原因は、幼少期にあります。
子どものころに、親から叩かれた、怒鳴られた、否定された、褒められたことがなかった・・・。
ある方は小学生のころ、夏休みの炎天下に家から歩いて1時間かかるスイミングに行かされ、暑くて体調が悪いと訴えても「プールで泳げて気持ちいいでしょ?わがまま言わないで」とスルーされてしまったと話していました。結局、体調が悪くても休むことは許されず、フラフラになりながらスイミングに通ったそうです。自分の主張を受け止めてもらえず、我慢をした体験です。

人は誰しも、社会でうまくやっていくために、程度の差はありますが我慢をしています。
しかし、ここでいう「厳しい我慢の生き方」をしている母親の我慢は、安心が伴わない、報われない、終わらない我慢です。
親から叱られたり、否定されることが多いと、子どもの我慢は大きくなります。自己主張するとまた叱られるので、親の言うことに合わせてその場を乗り切るすべを身に着けるのです。家以外でも同じように我慢をします。学校でも、先生や友達に合わせて、自己主張を抑えています。それが身を守るための「生き方」だからです。
そうやって身に着けた「厳しい我慢の生き方」は、大人になっても変わることはありません。職場では人に合わせて緊張し、家でも家事をやらなければいけないという義務感に追われ続けるのです。

子どもにはどう影響するか

親の生き方は子どもにも伝わります。親が「うまくいかないこともあるけど、まぁ仕方ないか」という価値観だと、子どもも柔軟になりますし、自分を肯定する力が育まれます。
親が「ちゃんとやらなくてはいけない」という価値観だと、子どもも自分自身や他者に厳しくなります。また、親の我慢を子どもも感じ取り、我慢する生き方になります。そのため、友達への適切な自己主張ができないこともあります。
小学生の頃までは比較的親の価値観に従って育ちますが、思春期になると、子どもは親の価値観に疑問を持ち始めます。親の価値観や生き方に従いたい気持ちと、親の生き方に反発する気持ちの両方が出てきます。その分、親への反抗が激しくなることもあります。

叩かなければそれでよいの?子どもとストレスなくすごすためにできること

ここまで、子どもを叩いてしまう原因と子どもへの影響をお伝えしてきました。では、叩かない子育てをするには、どうすればよいか考えましょう。
私は子ども家庭支援センターでの経験がありますが、一般的には「叩くこと=身体的虐待」とされています。そのため、子ども家庭支援センターは、子どもを叩いた保護者へ叩かないよう注意をします。
しかし、私が本当に大事だと思うのは、子ども叩くか叩かないかではなく、母親が子どもとの時間をストレスなく楽にすごせることです。子どもと楽しくすごしている母親は、時に子どもを叩いて反省することがあっても、しばらくして気持ちを切り替え、生活の中で罪悪感から離れていきます。
一方、緊張が強い母親は自分を責め、追い詰められて、解決方法を探しています。この記事を見ているあなたは、きっとこれまで緊張して生きてきたのでしょう。

こんな自分が、子どもと楽にすごすことができるのか。
子育てが苦しいと感じている今のあなたは、想像できないかもしれません。
「生き方」を変えるには、時間がかかります。私がこれまで子ども家庭支援センターでお会いしてきた中で、時間をかけて変わっていった方を見てきました。

望ましいのは、母親自身の厳しい生き方を振り返り、自分の我慢を解くことですが、それには時間がかかります。ここでは、ひとまずの対処として何ができるかをあげます。

子どもを預けて、自分の時間を増やす

お金はかかりますが、保育サービス等を利用して、自分の時間をもつことが大切です。
厳しい我慢の生き方をしている母親は、自分が子どもを見なくてはいけないと思っている方が多いです。他の人を頼ることも苦手です。
子どもを預けることに罪悪感を持つ方もいますが、何度か利用しているうちに、子どもも母親も慣れていきます。
「〇歳までは、親が見なければならない」ということはありません。親以外の大人と触れ合うことも、同年齢の子どもたちと関わることも、子どもにとってとても良い刺激になりますし、学ぶことも多いです。保育園に預ける要件がある方は、それもよいでしょう。

家事支援サービス等を利用して、家事の負担を減らす

子どもを預けることと目的は同じです。母親の負担を軽くし、楽になる体験をしましょう。
家事支援サービスではなくとも、スーパーの総菜やテイクアウトを利用するだけで負担は減ります。また、1日くらい子どもを風呂に入れなくても大丈夫です。
それぞれの事情はあると思いますが、「手を抜く」ということを意識してみてください。

我慢の生き方を解くために|カウンセリングにできること

上記では、自分の時間をもって自分を楽にすることをあげました。頑張り屋さんの母親にとって、少しでも手を抜けるようになることは、とても良いことです。
さらに根本となる苦しい生き方を改善するためには、これまでの自分の我慢と頑張りを認めることが必要です。ずっと我慢してきた、頑張りすぎていたことに気づくことで、それらを緩めることができるようになるのです。
「私はそんなに頑張っていない。いつもうまくできない。」そう思う方もいると思います。自分がどれだけ我慢してきたかを客観的に捉えられる方はいません。それは、自分が生きてきた世界がすべてで、他を知らないからです。
カウンセリングの場でも、十分すぎるほどよくやっているのに「全然できていません」と話し、自分の頑張りに気づいていない方が多いのです。

カウンセリングでは、対話を通してこれまでの自分自身の生き方に気づくことができます。自分の生き方を知るということは、自分自身を客観的、相対的に捉えるということです。カウンセリングを通して、日常の自分から離れて、少し遠くから自分の生き方を眺めます。
その先に何が見えてくるのか、それは自分への愛情です。ずっと抑えて生きた自分への愛情を取り戻すと、生き方が変わり、そして苦しかった子育ても変わるのです。

子育てにつまずきくときは、ご自分の生き方を振り返るときです。
ゆっくりで良いです。長い間積み重ねてきた我慢は、ゆっくり解いていきましょう。

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